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第四回「片子の家族の物語をつくる」

4月16日

参加者:女性2名(20代、30代)、男性1名(20代)、私の計4名。

時間:30分ほど

前回に引き続き同じ場所で開催。第2回ワークショップに参加してくれた女性と、鑑賞者2名で行う。

***

 前回に引き続き「片子の家族の物語」をテーマにしようと提案。前回は1対1になったことと、まだ広がりそうなテーマだったのでこれを続けてみることに。原作を説明し、家族の物語とは何か?ということを話し合う。片子が自殺したりしないで済むような家族のかたちを物語にする、ということになる。

 これはどういう家族だったらうまくいくか?どこに問題があっただろうか?などと問うと、「難しい」と答えが返ってくる。雰囲気は固めで、参加者は緊張しているようであった。ということでまず、私から話をはじめる。鬼ヶ島での3人(鬼、女房、片子)も家族であり、村での3人(夫、女房、片子)も家族である。これだとどっちが良かっただろう?などと問いかけてみる。

 「誰から見た家族か」という疑問が出る。鬼から見れば、片子から見れば、と考えてゆき、次第に物語がつくられはじめる。

 夫が迎えにこなかった場合や、女房だけを引き取った場合。鬼ヶ島での女房の生き方などについて話し合う。女房がしたたかに鬼ヶ島で生きていけばいいのでは?など、鬼の世界で積極的に生きる可能性について話し合うなどする。

 人間の世界に帰りたがっていた女房の為に、片子が鬼をくい止め、そのスキに母親(女房)を逃がす。この別れが2人の今後の精神的な支えになる。しかし、成長した片子が人間の村に帰ると、そこには女房と夫の間には新たな子ども(人間)が生まれていて……。といった悲しげな物語がつくられたりする。

 片子が母の子になるか、父の子になるか。現実の離婚カップルの話みたいだ、といった話をする。その他様々なアイデアを散発的に話し合う。

 以下、つくられた物語。

  • 夫が迎えにいかなければよい。(鬼ヶ島で女房と鬼と片子が暮らす)

  • 夫が迎えに来たとき、片子をおいていく。鬼と片子。人間の夫婦。という分裂。

  • 女房が鬼を愛する。鬼との間に片子をたくさん産む。

  • 女房がもっとしたたかに生きる。複数の鬼と関係を持ち、鬼ヶ島で強く生き抜いてゆく。

  • 片子が鬼をとどめる。その隙に母を逃がす。悲劇の別れであるが、片子にはそれが、母にはそれが生きがいにもなる。人間の夫婦にもどった二人は、人間の子を産む。10年後、片子はそれを知るかもしれない。

  • 片子と母親が二人で逃げだす。

  • 夫が鬼の世界に行く。そして鬼の奥さんを見つける。

 まとめとして、この話をどうメタファーとして捉えるか、などを雑談。参加者が最近見た映画(ムーンライト)の話などをして、アイデンティティが揺らいでいる時に、人は何を支えに生きられるのか、といった話を少しして終了。最後まで緊張のほぐれきらない雰囲気ではあったが、たくさんの物語がつくられた。

 過去の参加者が参加してくれた初の回となったが、以前のワークショップの様子などを話しつつ、ワークショップを私にかわって進めてくれたり、対話の蓄積という意味でこういう関係性も興味深く思った。

 物語作りを重ねてみるなかで、片子が死なないこと自体を想像することは容易であり、そのどれもが解決策で正解なのだと思う。しかし前回までのワークショップでの対話でも出たように、それは片子という個性を殺すことになるという議論や、片子であるということだけでは何の意味も生まれないという話を思い出し、このワークショップの着地点について考えなくては、と思う。

 この二回の「片子の家族の物語」をつくったワークショップでの対話を素材として、映像作品を一つ作った。Worksページにて公開しているので、もし興味あればご覧ください。

↑ワークショップの残骸


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